友達に株で勝てる方法を教えてもらいました
私はスウだ。
大学三年生で今年は就活が控えている。
そんな私だが、昨日と今日の二日間、株のデイトレードをしていた。
「あーもう! 全然儲からない!」
デイトレードで利益が出なかった時、私の口からはいつもこの言葉が出る。
「こんなに毎日頑張ってるのに、何で儲からないんだろ」
私はそう思いながらパソコンを閉じた。
するとその時だった。
ピロン♪ スマホが鳴る。
それはSNSアプリの通知音だった。
誰かと思って見てみると、友達からのメッセージが届いている。
『ねえ、明日暇?』
同じ大学のマサコだ。
ちなみにマサコとはただの友達ではなく、いわゆる親友という関係である。
そして、昨日も夜通し一緒に遊んでいたのだ。
なので、この誘いも予想通りであった。
私はすぐに返信をする。
『うん、暇だよ』
『じゃあさ、二人でお金儲けしない? 実はね……』
その言葉と共に、私はあることを告げられた。
「えっ!?」
その内容を聞いた瞬間、思わず声を上げてしまう。
「そんなこと本当にできるの?」
『もちろんよ。しかも大金持ちになれるわ!』
「でも、どうして急に?」
『だって、あんたずっと株やってるけど全然儲かってないじゃん』
「うぅ……」
確かに、私は今まで貯金なんてしたことがない。
親からもお小遣いをもらっているし、遊ぶお金には困ったことがなかったからだ。
しかし、それでも欲しいものはあった。
服とかアクセサリーとかバッグとか化粧品とか……。
そういうものを買うために、私はこっそりバイトをしたりしていたのだ。
だから貯金が全く無いわけではない。
だけど、その金額はたかが知れていた。
それに比べて、マサコは違う。
彼女はとても裕福な家庭で育ったようで、親からは毎月かなりの額のお小遣いをもらっていた。
それに、彼女の家は有名な会社を経営しており、その会社は超がつくほどの一流企業なのだ。
つまり、彼女が一言言えば、親はすぐにお金を出してくれるということである。
だからこそ、マサコは私と違ってお金に不自由していないのだ。
『それでさ、今回やってみようと思うんだけどどうする?』
「やる!!」
私は即答した。
「お願いします! 教えてください!」
『オッケー! じゃあ明日、朝10時に駅前に来てくれるかな』
「わかった!」
こうして、次の日の予定が決まった。
「よし、頑張ろう!」
翌日になり、約束の時間になったので、私は待ち合わせ場所へと向かった。
そこには既にマサコの姿があった。
「おはよう、スウ」
「おはよう、マサコ」
挨拶を交わした後、私たちは早速歩き始めた。
「で、どこに行くの?」
「まずはスウの家に行ってもいいかな? いろいろ準備したいものがあるから」
「いいよ」
マサコは一体何をするつもりなんだろう。
まあ、とにかくついていけばわかることだ。
そう思って、私は彼女に言われるままに自宅へ向かった。
家に着くと、早速私は部屋へと案内した。
「ちょっと散らかってるけど、ごめんね」
「大丈夫よ」
私は部屋に入ると、まずは机の上を整理した。
そして、勉強道具やら漫画やらを片付けていく。
その様子を見て、マサコはこう言った。
「スウは真面目なんだねー」
「えっ、普通じゃない? っていうか、マサコの方がすごいよね。毎日ちゃんとお化粧してるもんね。私は面倒くさくてできないなぁ……」
「ふふん、これくらい当然のことよ」
「やっぱりマサコは大人だねぇ」
そんな会話をしながら、私は部屋の掃除を終えた。
するとマサコは持ってきたノートパソコンを立ち上げた。
ノートパソコンには株価の情報が載っているサイトを開き、私は画面を見つめる。
「ねえ、何を見るの?」
「今日上がる株を探すのよ。ほら、このページを見てみて」
「どれどれ……?」
私は言われた通りにそのページを見た。
「あ、なんかいっぱい載ってるね。これが株のチャート?」
「簡単に説明すると、こういうふうにグラフが下がってたら売り時、上がってたら買い時のサインになるの」
「へぇ〜、そうなんだ〜」
「じゃあ始めるわよ。このページにある銘柄の中から、一つ選んでみましょうか」
「うん」
そして、私はいくつかの候補から一つの銘柄を選んだ。
それはとあるIT関連の会社だった。
その会社の株価をチェックすると、先ほどマサコが言っていた通り、少しだけ上がっているようだ。
「じゃあその株をクリックして、買い注文を出してちょうだい」
「うん、わかった」
私はマウスを動かして、その株の購入ボタンをクリックした。
「これで買えたの?」
「そうよ。後は結果を待つだけだね」
それからしばらく経った後、私はマサコに尋ねた。
「ねえ、何でこの会社を買っただけでお金が増えるの?」
「その答えはこの後にわかるわ」
「えっ、どういうこと?」
「もうすぐ発表されるから待ってて」
マサコの言葉の意味がよくわからなかった。
だが、すぐにその意味を知ることになる。
「あっ、メールが来たよ」
「じゃあ確認しましょうか」
「えっと……、あ、なんか通知来てる! あれっ!?」
「どうしたの、スウ」
「株が……、上がってる……!?」
私は驚きながら、マサコの方を振り向いた。
「ね? 儲かったでしょ?」
彼女は笑顔を浮かべながら、得意げに言った。
「うそぉ……」
私は目の前の出来事がまだ信じられなかった。
だって、私が選んだあの会社は、全然人気のないところなのに……。
「どうして急に上がったの?」
「ああ、それなら簡単よ。だって、この会社が作っているアプリが大流行しているからよ」
「え、でも、そんなはずないよ」
「でも実際に、今この瞬間もどんどん利用者が増えてるみたいだし、これからもっと伸びると思うよ」
「でも、そんなことが本当にあるなんて……」
「世の中には不思議なこともあるものなんだよ」
マサコは優しい口調で言う。
「マサコはすごいね」
私は素直に感心した。
私には到底できないことである。
「じゃあ次はスウの番だね」
「えっ、私の番って……」
「もちろん、投資するのよ」
「無理だよ、そんなの」
「大丈夫よ。スウにもできるはずだから」
「だけど……」
私は口籠った。
確かにマサコの言うとおり、この方法では私のような素人でも稼ぐことができるかもしれない。
しかし、リスクが全く無いわけではないのだ。
「ねえ、スウはこのまま一生バイト暮らしでいいと思ってるの?」
「いや、そういうわけじゃないけど」
「だったら、やってみるべきだと思うよ」
「……」
私は黙り込んだ。
「心配しないで。もし失敗したとしても、ちゃんと責任は取るから」
「本当?」
「うん。だから、思い切ってやってみようよ」
「わかった……!」
こうして、私はついに決心した。
この方法を使って、一攫千金を狙うことにした。
「どの銘柄を選べば良いかな?」
「それはスウに任せるわ。ただ、最初はあまり大きな金額は入れない方が良いかもね。少しずつ増やしていくイメージかな」
「わかった、やってみる」
そして私は再び画面を見つめた。
「うーん、なかなか決まらないなぁ……」
「焦らないで、ゆっくり考えればいいよ」
「そうだね……」
私はじっくり考えた末に、一つの銘柄を選んだ。
それはとある会社だった。
「決めたよ。これにしよう」
「オッケー、じゃあその株を買ってみましょう」
「うん」
私は購入ボタンをクリックした。
「これで大丈夫なのかな?」
「大丈夫よ。後は結果を待つだけね」
私はドキドキしながら、株価の変動を見守る。
「あ、また通知が来たよ」
「じゃあ確認してみて」
「えっと……、あっ、下がってるよ」
株価を確認してみると、さっきより下がっているようだ。
「スウ、落ち着いて。まだ慌てるような時間じゃないわ」
「う、うん」
私は一度深呼吸をして気持ちを整えた後、画面を確認した。
「どんどん下がっていくよ……」
「大丈夫、まだまだチャンスはあるわ。諦めずに待ちましょう」
マサコの言葉を聞きながら、私はひたすら待つ。
しかし、一向に上がる気配はなかった。
「やっぱりダメだったのかな」
「そんなことないよ。きっと上がる時が来るから」
「うん……」
私は不安になりながらも、必死に我慢した。
それでも株価は下がり続けたままである。
「ねえ、マサコ」
「どうしたの?」
「これって、もう絶対売れなくなっちゃったよね?」
「そうねぇ……。まあ、そうとも言えるかもしれないわね」
「そうなんだ……」
私はがっくりと肩を落とした。
「ねえ、マサコ。私、もう辞めたいよ……」
「スウ……」
「ごめん、こんなこと言って。マサコが悪いんじゃなくて、私が不器用すぎるだけなんだよね」
「気にしなくてもいいよ。誰だって最初から上手くはいかないから」
「でも……」
「それに、私はスウのこと応援してるから」
「ありがとう……」
私は涙目になっていた。
「スウが頑張っている姿を見ると、私も頑張ろうって思えるの。だから、もう少し一緒にやりましょう」
「マサコ……」
「ほら、顔を上げて」
マサコは優しく微笑む。
「うん」
私は涙を拭いて、笑顔を作った。
「よし、もう一回やってみよう」
「うん、その意気だよ」
それからしばらくして、再び通知が鳴った。
「あれっ、通知が来てるよ」
「今度は何の知らせだろうね」
「えっと……、あっ! 上がってる! 上がってるよ!」
「やったじゃん! おめでとう!」
マサコは嬉しそうに拍手をした。
「私も嬉しいよ。本当にありがとう」
「良かったね。私もスウの力になれて嬉しいわ」
「マサコのおかげだよ。本当に感謝しています」
「そんなにかしこまらなくてもいいのに」
「でも……」
「スウ、もっと気楽にしていいのよ。スウの好きなようにすればいいの」
「マサコ……」
「だって、それが一番スウらしいと思うから」
「わかったよ」
私はマサコに向かって笑った。
「ぷぅ~」
「気楽にしてとは言ったけど、ここで屁はやめてよ」
「ごめん、つい出ちゃって」
「全く……」
私たちは笑い合った。
「ねえ、スウ。これからもずっと友達でいてくれる?」
「もちろん。私たち親友でしょ?」
「そうだね」
こうして、私はついに一攫千金に成功した。
この方法で稼いだお金を使って、マサコと海外旅行に行ったりした。
とても楽しい思い出である。
