お金のなる木を育てたらなんと……

私は女子大生のスウだ。
大学入学と共に一人暮らしを始めたのだが、家賃や食費を浮かすため、株取引で稼いでいる。
最近は毎日、パソコンとにらめっこして株価の動きを監視している。
「あー、今日も全然儲からないなぁ」
私がそうぼやくと、ルームメイトのマサコが言った。
「スウはもうちょっと堅実に生きた方がいいと思うよ?」
「だってぇ……」
私には夢があるのだ。
それは大金持ちになって、お城みたいな豪邸に住むこと!
そして今の資金を元手に、株取引を始めることにしたのだ。
「この前なんか10万損しちゃったんだよ? 今月どうしよう……」
「だからさ、バイトでもしたらいいんじゃない?」
「う~ん、でも勉強もあるしさぁ……」
私は頭を抱える。すると、マサコが言った。
「ねぇ、スウ。ちょっとこれ見てみて!」
「何それ……『お金のなる木』?」
「ほらここ! これを育てればお金がザクザクって書いてあるじゃん!」
「え~、胡散臭くない? だいたいそんな簡単にお金儲けできるなら誰も苦労しないよね」
「まあまあ、物は試しだよ! 騙されたと思ってやってみようよ!」
「う~ん、わかったよ……」
こうして私は『お金のなる木』を育てることになった。それから数日後――
「ああっ!? 芽が出たよっ!!」
「おおおっ!! 凄いじゃないか!!」
「やったね! これで億万長者だねっ!!」
私たちは抱き合って喜んだ。
しかし、次の瞬間……
「きゃあああっ!!!」
突然、部屋中に大量のゴキブリが発生した。
「ひぃいいいっ!!」
「嫌あああっ!!」
私たちは必死に逃げ回った。だが、逃げ場はない。やがて部屋の隅に追いつめられてしまった。
「ど、どうするの? このままじゃ死んじゃうよぉ……」
涙目になる私に、マサコが言う。
「こうなったら、やるしかないわ!」
「や、やるって何を……?」
「もちろん、『お金のなる木』を食べるのよ!!」
「そ、そんなぁ……」
私は泣き出した。
「こんなもの食いたくねえよぉ……。ぐすん」
「ダメだよ、スウ! 生きるためには仕方がないんだ!」
「うぅ……」
仕方なく私は『お金のなる木』を食べることにした。
(まずそうなんだけどなぁ..でも死ぬよりマシか)
覚悟を決めて口に入れると、なんとも言えない味だった。
「うえぇ……」
「大丈夫かい、スウ?」
「なんとか……げほっ」
その後、私たちはどうにか助かった。
「あー、死ぬところだったね」
「そうだね、マサコのおかげだよ」
「いいってことよ!」
マサコは得意気に胸を張った。
その日以来、私の生活は一変した。
朝起きると、テーブルの上に封筒が置かれていた。中身を見ると、1万円札が入っていた。
「これはいったいどういうことだろう?」
不思議に思っていると、今度は一通の手紙が届いた。そこには『あなたのおかげで大儲けさせていただきました。ありがとうございます!』と書かれていた。
手紙を読み終えた後、私は思った。
(なんだかよくわからないけどラッキー♪)
その後も『お金のなる木』を食べ続けた結果、私のもとには毎日のように大金が舞い込むようになった。
そして、数年後――
ついに私は大金持ちになった。
お城のような豪邸に住み、メイドさんたちにかしずかれている。
「ああ、幸せだなぁ……」
私がそう呟くと、メイドの一人が言った。
「スウ様、ご主人さまがいらっしゃいました」
「え? パパが? どうしてここに?」
「なんでもスウ様に話したいことがあるとか……」
「ふ~ん、まあいいわ。通しなさい」
「畏まりました」
しばらくして現れたのは、私のお父さんだった。
「やあ、スウ。元気にしてたか?」
「うん、まあね」
「実はな、スウに頼みがあるんだよ」
「何? 何か欲しいものがあるなら言ってみて」
「実はな、お前にプレゼントがあるんだよ」
「え? 何々?」
私は目を輝かせた。
「じゃーん!これを見てくれ!」
そう言って父が取り出したのは大きな水槽だった。中にはたくさんの熱帯魚が入っている。
「うわ~! 綺麗だね!」
「そうだろ? それでスウにお願いがあるんだ」
「何?」
「この子たちを世話してくれないかな?」
「私が?」
「そう、スウが」
「でも、何で急に?」
「それがさぁ、ウチの会社が倒産しちゃってねぇ。社員も全員解雇されて、家まで取られてしまったんだよ。これからどうやって生きていこうかと思ってたところなんだ。だから、スウが面倒を見てくれるとありがたいんだけどなぁ……」
父は困ったような顔で言う。
「そういうことだったの? わかった、任せておいて!」
私は笑顔を浮かべる。
「おおっ! 引き受けてくれるのか! ありがたい!」
父はとても嬉しそうな顔をしている。
こうして、私は大金持ちになり、同時に大きなペットを手に入れた。
「う~ん、いい気分!」
私は満足げに微笑む。
「あ、ところでお父さん、今度から生活費はどうするの?」
「いや、それは自分で何とかするよ」
「え~、そんなの無理だって! だって私、もう大金持ちだし、ちょっとくらい援助しても全然問題ないよ」
「いや、しかし……」
「遠慮しないで! ほらほら、早く!」
「そ、それじゃあ……頼むとするか」
こうして、私はさらにお金を稼ぐことになった。
ある日のこと――
いつも通り、株取引をしていると、不思議な出来事が起きた。
「ああっ!? 株価がどんどん下がっていくよっ!? いったいどうなってるのっ!?」
慌てる私に、マサコが冷静に言う。
「落ち着いて、スウ。こういう時はまず深呼吸するのよ!」
「う、うん。スーハー、スーハ―……」
「落ち着いた?」
「う、うん。なんとか……」
「よし! じゃあさ、次にパソコンを見てみよう!」
「う、うん」
私は恐る恐る画面を覗き込んだ。すると――
「あれれ? なんだか株価が上がってるような気がするんだけど……?」
「気のせいではないわ」
「そっかぁ、よかったぁ……。一時はどうなることかと思ったよぉ……」
ホッと胸を撫で下ろす。
「でも、不思議だよね。どうしてこんなことが起こったんだろう?」
首を傾げる私に、マサコが得意気に語る。
「きっと『お金のなる木』の効果よ!」
「『お金のなる木』ってあの『お金のなる木』?」
「そう! 食べることで幸運が訪れるっていう伝説の植物だよ!」
「へぇ~、そんなすごい効果があったなんて知らなかったよ」
「ふふん、スウはまだまだお子様ね」
「うぅ~、悔しいなぁ~」
私は頬を膨らませる。
その後、私たちはどうにか助かった。
「ああ、死ぬところだったね」
「そうだね、マサコのおかげだよ」
「いいってことよ!」
マサコは得意気に胸を張る。
私の生活にはお金という新たな要素が加わった。その日以来、私の生活はさらに充実したものとなったのである。

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