この人は正義の味方なのか
私はスウ。20歳だ。
そして今、私は人生最大のピンチを迎えている。私の人生がかかっていると言っても過言ではないくらいに……。
「ねえ、いいじゃん! 俺たちと遊ぼうよ!」
そう言って私の肩を掴んできたのは、三人組のチャラ男だった。どうやらナンパされているらしい。
「あー……えっと……」
私は言葉に詰まってしまった。何て言えば良いのか分からないのだ。正直この手のタイプは苦手だし関わりたくない。しかしだからといってここで無視してしまえば、相手の気分を害してしまうかもしれない。それは面倒だ。
そんな風に私が迷っている間にも男たちはぐいぐいと迫ってくる。
(ど、どうしよう……。怖いし気持ち悪い……。誰か助けてくれないかしら……)
その時、一人の女性がこちらに向かって歩いてきた。その女性は背が高くすらりとした体型でとても綺麗な女性だった。彼女は近づいてくるなり、私たちに声をかけてきた。
「ねえ君たち。その子嫌がってるじゃない」
「ああ? 誰だよお前?」
「邪魔すんじゃねーぞブス!」
「そうだぜ! 痛い目みたくなかったらとっとと失せろ!」
女性たちは三人組の男たちから口々に罵声を浴びせられた。だが、彼女たちは全く怯むことなく言い返す。
「あらごめんなさい。でもあなたたちがあまりにも不細工なものだからつい見惚れちゃったわ。それで思わず邪魔してしまったのよ」
「なんだと!?」
「おいテメエ喧嘩売ってんのかコラァ!!」
「ぶっ殺すぞボケェッ!!!」
三人組の男たちは顔を真っ赤にして激昂した。すると、一人がいきなり女性の胸ぐらを掴んだ。
「ちょっとあんた! 何やって―――」
私は慌てて止めようとしたが間に合わなかった。次の瞬間には、男が思い切り拳を振り上げていた。殴る気だ。まずい。殴られたら絶対怪我する。下手したら大怪我を負う可能性だってある。
(危ない!!)
私は目をつぶった。
しかしいつまで経っても衝撃が来ることはなかった。恐る恐る目を開けると、そこには信じられないものがあった。
なんと女性が男の手首を掴み、力ずくで止めているではないか。しかもよく見ると、その手の周りには何か光のようなものが纏わりついているように見える。一体どういうことだろう? 男は必死になって抵抗しているが、女性は決して手を離さない。それどころかどんどん腕を押し返している。すごいパワーだ。やがて耐えきれなくなった男はとうとう手を放してしまった。そして今度は逆に男の腕を掴むとそのまま背負い投げをした。地面に叩きつけられた男は苦しそうな表情を浮かべた後気絶してしまった。もう一人の男も同じようにしてあっさり倒すと、最後の一人に視線を向けた。その瞬間男は女性に向かって走った。そして勢い良く殴りかかる。だが女性はひらりと身をかわすと男の背後に回り込み、首筋に手刀を叩き込んだ。それによって男は崩れ落ちるように倒れてしまった。あっという間の出来事だった。
「さて……次はあなたの番だけど……どうする?」
女性はそう言うと私の方を見た。
「えっ!あ、あのぅ……」
鋭い眼差しに射抜かれて私は固まってしまう。蛇に睨まれた蛙とはまさにこのことだと思った。
「う……あ……」
恐怖で上手く言葉が出せなかった。
私は全速力で逃げた。後ろを振り向かずとにかく逃げた。家に帰るために駅まで走り続ける。
結局私はあの後すぐに駅に逃げ込んで電車に乗り帰宅した。何とか危機を乗り越えることができたのだ。
怖かった……。本当に死ぬかと思ったわ……。あんな強い人初めて見た……。
