私はスウだ。
大学に通う二年生で、今年二十歳になる。
私には彼氏のタカシがいるのだが、そのタカシが最近どうもおかしいのだ。
「なあスウ」
「んー?」
「お前さ、俺のこと好きか?」
「……は?何言ってんの?」
「いいから答えろよ」
「好きだよ。愛してるに決まってんじゃん!」
「そっか……」
こんな感じの会話を毎日のように繰り返している。
何かあったのかと聞いてみても、「別に何もないけど?」の一点張りだ。
しかし、これは明らかに様子がおかしい。
だから今日こそ問い詰めてやろうと心に決めていた。
そして昼休み、二人でご飯を食べようとタカシを誘った。
「ねえタカシ、今日一緒に昼飯食おうぜ」
「スウの手作り弁当持ってきた?」
「いや、学食だけど」
「じゃあいいわ」
そう言うと彼はどこかへ行ってしまった。
仕方なく一人で食べ始めたものの、やっぱり気になるものは仕方がない。
そこで思い切って本人に直接聞いてみることにした。
放課後、誰もいない教室でタカシを呼び出した。
「話って何だよ」
「あのさ……なんか隠し事してない?」
「なんの話?」
「朝からずっと変だったし、絶対なんかあると思ってたんだけど……」
「そんなことより早く用件言えよ」
やはり話を逸らされた。
こうなったらもう直接聞くしかないだろう。
「ねえ、私のこと好きなの?」
「ああ、もちろん好きだぞ」
「どのくらい?」
「そりゃあ世界で一番好きだよ」
「ふーん……」
タカシは嘘をつくとき必ず目を逸らす癖がある。
つまり今の発言は嘘ということだ。
まあそれはともかくとして、問題は何故嘘をついたかということだ。
もし浮気をしているなら許さない。
「ねえタカシ、なんで私が怒った顔してるかわかるよね?」
「……」
「答えてくれないんだね……。わかったよ、正直に話すまで帰らないから!」
私はタカシの腕にしがみついて、逃げられないようにしてやった。
これで逃げることはできないはずだ。
「実は……」
観念したのか、ようやく口を開いた。
だが次の瞬間、信じられないことが起こった。
「スウのことが好きすぎて死にそうなんだよ!!!!!」
………….はい? こいつは何を言っているんだろう? まさかとは思うが、死ぬほど私のことが好きということだろうか? だとしたら嬉しいけれど、流石にそれはないだろう。
だって私たちまだそういう関係に至ってもないわけだし……。
でもこの言い方的にそうとしか思えないような気がする。
「……それマジで言ってる?」
「大真面目だよ!俺は本気でスウを愛してるんだ!」
彼の目は本気そのものといった様子だった。
ということは本当に私を愛してくれているらしい。……なんだか急に恥ずかしくなってきた。
「そっか……じゃあさ、今度の日曜デートしよう」
「いいけど、どこ行くんだ?」
「内緒♡」
こうして私たちはデートの約束をしたのであった。
しかし、それからというもの、タカシは以前にも増して私に対して積極的になってしまった。
そして迎えた日曜日、待ち合わせ場所に着くと、すでにタカシの姿があった。
いつものように手を振ってきたので振り返してやる。
「お待たせ」
「全然待ってないよ。それより今日の服可愛いな」
「ありがと」
ちなみに今日の服装は白いワンピースである。
我ながらなかなか似合っていると思うのだが、どうだろうか?
「さて、じゃあ行こうか」
「うん!」
こうして私たちは映画館へと向かった。
映画の内容はよくある恋愛物で、特に目新しい要素はないものだった。
しかし、隣に座っているタカシの手が偶然にも触れてしまい、そこから一気に緊張が高まってしまった。
(ヤバい、心臓バクバク鳴ってる)そんなことをしているうちに上映が終わった。
「面白かったね」
「そうだな」
「じゃあそろそろご飯食べようか」
「ああ」
近くのレストランに入り、注文を終えると、早速話題を切り出してみた。
「ねえタカシ」
「ん?」
「私のこと好き?」
「ああ、好きだぞ」
「どのくらい?」
「世界で一番好きだ」
やっぱりそうきたか……
予想通りだ。
ならば次はこちらから仕掛けるのみ。
「じゃあさ、私のうんこが食える?」
そう言った途端、タカシの顔色が変わった。
「えっ?」
「いやだから、私のうんこ食える?」
「それはちょっと……」
「ほらやっぱり無理じゃん」
「いや、その、ごめん……」
「謝られても困るんだけど」
「じゃあどうすればいい?」
「うーん……」
よし、ここで切り札を出すとしよう。
「キスしてくれたら許す」
「わかった」
そう言うと彼は突然立ち上がり、周りを見渡した。
そして人がいなくなったのを確認すると、おもむろに唇を重ねてきた。
初めての感覚だったが、悪くはなかった。
その後、私たちは食事を済ませ、帰宅することにした。
帰り道の途中、タカシは唐突にこんな質問をしてきた。
「なあスウ、俺のこと好き?」
「うん、大好きだよ」
「どのくらい?」
「宇宙一かな」
「じゃあ、俺のうんこが食える?」
「うん。じゃあ今ここでうんこして!」
「えっ!?」
「ここで無理ならトイレに行く?」
「……」
「早く!」
「ごめん……」
「冗談だっだの?」
「だからごめん……」
「タカシのなら喜んで食うよ」
「やめてくれ……」
今度はタカシが自爆した。
「嫌なら私のこと愛してないってことだよね。別れよっか?」
「そんなわけないだろ!」
「代わりにキスして!」
「わかったよ……」
タカシは再び私にキスをした。
「これで満足?」
「まあね!」
「スウのうんこ好きには敵わないよ」
「ありがとう!でも、私だってタカシのことはちゃんと好きだからね!」
「わかってるよ」
「ところで、タカシはいつから私のことが好きなの?」
「初めて会った時からずっとだよ」
「そうなんだ……」
「ああ」
「じゃあこれからもよろしくね」
「もちろん!」
こうして今日のデートは幕を閉じた。