思い出のうんこ発射機
私はスウだ。
私の家は裕福ではないものの、家族みんなで仲良く暮らしていた。私も大学に通いながらアルバイトをしていたのだが、ある日、それは突然やってきたのだ。
いつものように大学から帰ると、玄関には見知らぬ靴が並んでいた。父さんのものじゃないなと思ったのを覚えている。
「ただいまー」
私がリビングに入るとそこには知らない男がいた。
「あぁおかえりなさい」
男はこちらに気付くとそう言った。
「どちら様ですか?」
「はじめまして。私はこういう者です」
男が差し出した名刺を見ると、そこには”うんこ協会”という文字があった。
「は?なんすかそれ?」
「この度、弊社はうんこをもっと身近にするべく、様々なサービスの提供を始めました。その名もうんこ協会!あなたもうんこを体験してみませんか?」
意味不明だった。うんこを体験ってなんだ。
「とりあえず話を聞きましょう」
「ありがとうございます!」
そして男の説明が始まった。
うんこ協会はその名の通り、うんこに関するサービスを提供する会社らしい。その説明を聞いていると、ふとある疑問が生まれた。
「あの、トイレに行けば普通にできるんじゃないっすかね?」
すると男は少し困ったような顔をした。
「えぇまぁそうなんですけどね……」
どうやら何か事情があるようだ。
「詳しく聞かせてくださいよ」
私が言うと男は渋々といった様子で語り始めた。
「実はですね、我々はこの事業をより広く認知させるために、まずは無料で会員になって頂ける方を探しておりまして……そのお試しとして今回、特別に無料キャンペーンを行っているのです」
なるほど。そういうことなら納得である。
「ちなみにどんなことをしてくれるんすか?」
「はい。基本的には貴方に代わってうんこをしてくれるおもちゃです。例えば、うんこしたい時にボタン一つ押すだけですぐにうんこをしてくれます」
「へぇーすごいっすねぇ」
「他にもこんなことができます!」
そう言って男はリモコンを取り出した。
「これを押せばあら不思議!うんこが飛び出してくるんですよ!」
そう言いながら男はボタンを押した。しかし何も起こらない。
「あれれ?おかしいな……」
首を傾げる男だったが、やがてハッとした表情を浮かべると、再びボタンを押した。すると今度は本当にうんこが出てきた。
「うわ出た!まじか!」
これには驚いた。
「これ欲しいです!」
「でしょう!?是非とも入会お願いします!数日でこのうんこ発射機が届きます」
こうして私はこの日、うんこ協会に入会することになった。
数日後、早速自宅に届いたうんこ発射機を開封してみた。
説明書によるとこの装置は、うんこをしたいときにボタンを押すと起動するようになっているらしい。早速使ってみることにする。
「じゃあやってみるか」
装置の電源を入れると、ピーッという音が鳴った。よし、準備完了だ。
「うんこ発射!」
掛け声とともにボタンを押してみる。
すると、ケツの穴からうんこが勢いよく出てきた。
「うおっ!まじかよ!なんか出てきたぞ!」
私は思わず興奮してしまった。しばらく経つと、うんこは出なくなった。どうやらこれで終わりのようである。
「結構気持ちよかったかも……」私はそれから毎日のようにこの装置を使った。暇さえあればうんこを発射し続けた。もう私の生活の一部になっていたのだ。そんなある日のことだった。いつも通り装置を使っていると、急にうんこが出なくなってしまった。故障だろうか? 仕方ないので新しいうんこ発射機を買うことにした。だがどこを探しても売っていない。店員に聞いてみると、どうやら入荷待ちの状態らしい。
そこで仕方なく別のものを買おうとしたのだが、どれもこれも高い。仕方ないから貯金を切り崩して買おうと思い銀行に向かった。預金通帳を確認すると残高は三万ちょっとしかなかった。これだけしかないのか……。
私は愕然とした。
「これからはうんこ発射機なしの生活になるのかよ。このままだと生きていけないじゃん!」
私の人生は終わったのだった。
