彼氏と映画を見てきました
私はスウだ。
私の彼氏であるタカシはとっても優しい。だからよく私を甘やかしてくれるし、私がどんなわがままを言っても聞いてくれるのだ。今日もいつも通り家に来てくれて、一緒にご飯を食べてゲームして遊んでお風呂に入って……って感じでとても幸せだったんだけど、一つだけ不満があるんだよね……。
「どうしたの?スウ?」
そう言うとタカシが私を見つめてきた。その顔はとても優しくて本当に可愛いと思ってしまう。こんな人がいるのかと思うほど性格もいいんだよ。でもさ、それじゃダメなんだ。
だって、そんなに完璧だと面白みがないもんね!
もっといろんな事に挑戦して欲しいし、もっと色んな所に行って欲しいし、もっと違う一面を見てみたいから!!
というわけでこれからどんどんわがままに付き合ってもらうよー!覚悟しろ!!!
「ねぇ……なんかしたいことない?」
「えっ!?」
いきなり聞かれたタカシの顔には戸惑いの色が見える。そしてそのまま考え込むような表情を見せた後口を開いた。
「2人でゲームとか映画見たいかな……」
よしきた!これだよこれ!こういうことが言いたかったんだよね〜♪という事はもうすぐ……おっとっと!ここから先は秘密にしておかないと面白くないし……
「分かった!今度デートしよう!」
これは本当だ。ただ単に遊びに行くだけなら問題はないはずだからね。するとタカシは少し恥ずかしそうな顔をしてから言った。
「あぁ……よろしく頼むよ。あとさ……スウ……」
やっぱりそういう反応になるよね。うん分かってるよ。
「何?またトイレ行きたいとか言わせないけど?」
冗談っぽく笑ってみせる。
「いや、それはいいんだけど……あのさ……実は……僕、最近太ったみたいなんだ……」
なんとなく予想していた答えではあったけれど実際に聞くときついものがあるね。
「そっか……」
なんて返せば良いのだろう……正直全然変わって見えないんだけど……。あっ!そうだ!ちょっといじわるするのもありかも!
「うぅん……あんまり変わらないように見えるけど……」
「やっぱりそう思うよね!!」
思ったよりも喜んでいるみたいだけど、これくらいの事しか言えない自分が悔しいな……。まあいいか。まだまだたくさんあるもんね。
それから私たちは次のデートについて計画を立て始めたのだが、結局この日は何も思いつかなかった。なので次までにいろいろ考えておこうと思った。
2週間後の日曜日―――ついにこの時が来た。朝早くから起きて準備をして待ち合わせ場所に向かった。
もちろん楽しみすぎて眠れなかったせいもあるけど(笑)
それにしても緊張してきたな……。
タカシとのデートは初めてだし初めての場所で会うというのはさらに緊張感が増すものだ。
時計を見ると10時20分を指している。約束の時間までまだ30分ほど時間があった。
とりあえず近くのベンチに座って待つ事にした。
しかし待てど暮らせどこっちに来る気配が無い。何かトラブルでもあったのだろうか?心配になった私は連絡しようとスマホを取り出すが、すぐに止めた。
直接会って話を聞きたいという気持ちの方が強かったからだ。
しばらく待っていると向こうから人が歩いてくるのが見えた。
よかった!無事来てくれたようだ。
ほっとした瞬間急に心臓が大きく脈打ち始める。きっと私の体は限界を迎えているに違いない。緊張しすぎだろ私!!!
だがなんとか平静を装いながらタカシに声をかけた。
「おはよう。タカシ」
声をかけながら近づくとタカシもこちらに気づいて手を振ってきた。
「ごめんスウ!遅くなってほんとうに悪かった!」
「大丈夫だよ。それよりどうかしたの?」
私が聞くとその途端タカシの顔色が変わりうつむき気味になってしまった。
一体どうしたというのだろう? まさか……事故にあったりしていないよね? 不安で胸の中が激しくざわめき出す。
お願いだから返事して! 沈黙が続く中必死に願っているとようやくタカシは顔を上げて言葉を発した。
「あのさ……僕、ダイエットしてたんだ。でもさすがにここまで来る途中でお腹空いてさ。お菓子買って食べちゃったんだ……」
その一言を聞いた瞬間思わず笑い出しそうになった。
なぜならそのセリフはまさにマンガで見た事のある場面そのものだったためである。
ここで大げさに驚いて見せたら面白そうだなと思いわざと驚いたふりをする。
「えぇー!嘘でしょ!?そんな事してたの!?全然気が付かなかったよー!だって痩せてるじゃん!」
よしよし!なかなかうまくいったぞ!さて次はどんな事を言うかな?
「実はズボンがきつくなってきたからなんだ……」
「えっ!?マジで!?全然分からないよー」
「ありがとう。でもこれ以上太りたくないんだ!だから頑張って減量するよ。」
「うん……分かったよ。」
その後私たちは映画館に行き恋愛ものの映画を見た。もちろんカップル席だった。
そして帰り際に再告白したのだ!
「タカシ!大好き!これからもよろしくお願いします!!」
タカシは少し照れた様子を見せながらもはっきりと言った。
「はい!よろしくお願いします!!」
こうして私たちの新しい恋人としての生活が始まったのであった。
