キーホルダー貰いました
私はスウ。大学四年生で、今は就職活動の真っ最中だ。
私には今、気になる人がいる。
その人は、同じゼミのタカシという男の子なんだけど……とにかく顔がいいのだ! 切れ長の目と高い鼻はまるで彫刻のように整っているし、さらさらの髪はどんなシャンプーを使ったらそうなるんだろうと思うくらい綺麗だし、スタイルもモデルみたいに抜群である。性格もいい。ちょっとクールだけど、とても優しい。
私が困っていたり落ち込んでいたりする時はさりげなく声をかけてくれるし、重い荷物を持っていたら代わりに持ってくれるし、授業中にわからないところをこっそり教えてくれたりする。
でも彼は、あんまり笑わない。いつも少し不機嫌そうに見えるからか、友達は少ないようだ。それがまた素敵だと思う。
「ねえねえ、今日飲み会やらない?」
ある日の講義終わり、隣に座っていた女子学生に声をかけられた。彼女は私の友人のマサコだ。
「えっ」
「ほら、もうすぐ就活始まるじゃん?だから景気づけってことで!」
「うーん……どうしようかなあ」
正直言うと、あまり気が進まない。私はお酒が苦手なのだ。酔っぱらうと何を口走るかわかったもんじゃない。それに、もしタカシくんが参加するなら絶対に行きたいけど……。
「タカシくんも来るよ」
「行く!!」
即答だった。
マサコとは高校からの付き合いだが、昔からこういうところがある。私の気持ちなんてお見通しなんだ。
そしてこの日、私たちは居酒屋に向かった。
お店に着くと、すでに結構な人数が集まっていた。みんな内定をもらった子たちらしい。私たちも席につくと、すぐに飲み物が届いた。乾杯をして、しばらくすると皆酔い始めたのか、ざわつき始める。
「ねえねえ、タカシくんどこ行った?」
マサコの声を聞いてハッとした。そうだ、タカシくんがいない! きょろきょろと辺りを見回すと、奥の方のテーブルにいるのを見つけた。
「タカシくーん!」
手を振ると、こちらに気づいて微笑んでくれた。やっぱり最高にかっこいい!!
「隣で飲んでいい?」
「もちろん」
やったね!心の中でガッツポーズをする。
しかし、いざ隣に座ると何を話したらいいかわからなくなってしまった。今まではただ遠くから見ているだけだったから、いざ話せるとなると緊張するものだ。
とりあえず何か話しかけようと思い、私は口を開いた。
「タカシくんて、彼女いるの?」
しまった!直球すぎたかもしれない。でも気になってたんだよね……。
「いないよ」
よかったぁ~!!!安心したと同時に、嬉しさがこみ上げてきた。よし、これならいけるかも!
「じゃあさ、私とかどう?」
言ってみた。ドキドキしながら返事を待つ。
「うん、いいよ」…………へ? いや待て待て。これはあれだよ、きっと社交辞令的なやつだよ。勘違いしたらいけないぞ私。
「本当!?嬉しい!」
でも断られなかったことが嬉しくて、つい笑顔になってしまった。それを見た彼の表情も、少しだけ和らいだような気がした。
それからというもの、私は頻繁に彼に会うようになった。二人で映画に行ったり遊園地に行ったりしたけれど、その間ずっと楽しかった。幸せすぎて怖くなるほどだった。
でも、なんだろう……何か物足りない。もっと一緒に居たい。できれば二人きりで。でもそんなこと言えるわけないし……。
そんなある日のことだった。
「ねえ、明日空いてる?」
突然彼に聞かれた。
「えっと……」手帳を確認するふりをしながら考える。特に予定はないはずだけど、念のため確認しておかないと。
「ないよ」
「良かった。ドライブに行かないか?」
「行く!」
即答だった。だってデートだもん。断る理由がない。
「じゃあ決まりだ。朝9時に駅前集合な」
「わかった!」
こうして私は、彼とデートに行くことになったのだ。
次の日。
「おはよう」
「おはよう」
待ち合わせ場所に着くなり、彼が声をかけてくれた。今日もかっこいいなあ。
「今日はどこに行こうか」
「どこでもいいよ」
本当は、あなたと一緒に行けるならどこだって楽しいから。
「じゃあ海でも見に行きますかね」
「賛成!」
車を走らせること約1時間。私たちは海辺に到着した。潮風が心地よい。
「わあ、綺麗!」
青い海に白い砂浜。まさに夏といった感じだ。
「ここは俺の秘密の場所なんだ」
「そうなんだ!」
知らなかった。ということは、ここに来ればいつでも会えるってことだよね?やったあ!
「あ、あのさ」
「ん?」
「今度、花火大会があるんだけど……その……一緒に行かない?」
「えっ」
「嫌かな」
「ううん!全然!」
むしろ大歓迎です。
「じゃあ、約束な」
「うん!」
私は小指を差し出した。すると彼は少し照れたように笑いながら、自分の小指を絡めてくれた。
「ゆびきーった♪」
そういえば、小さい頃はよくこうやって遊んでいた気がする。懐かしいなぁ。
「タカシくん」
「ん?」
「大好き」
思わず言ってしまった。もう後戻りはできない。どうしよう。
「……ありがとう」
彼の声はとても優しくて、私の鼓動はどんどん速くなっていった。
「そろそろ帰ろうか」
「そうだね」
帰りの道中、私たちの間に会話はなかった。それはそれで悪くなかった。沈黙さえ愛おしいと思った。
「着いたよ」
家の前に着き、車を降りる。
「じゃあまたな」
「うん……また」
名残惜しかったけど仕方がない。また会えばいいんだし。
「あっそうだ。これやるよ」
差し出されたものを受け取る。
「キーホルダー?」
「ああ。昨日買ってきたんだ」
「えっ!嬉しい!!」
まさかプレゼントしてくれるなんて思ってもみなかったので、とても驚いた。
「大事にするね!」
「おう」
顔が熱くなるのを感じた。こんなことされたらますます好きになっちゃうじゃん……。
「じゃあね!」
「気をつけて帰れよ」
手を振って別れを告げると、私は急いで部屋に戻った。そしてベッドにダイブすると、もらったばかりのキーホルダーを眺めた。
「ふふっ」
自然と笑みがこぼれてしまう。嬉しくて嬉しくてしょうがなかった。
