金ならいくらでもある

私はデイトレーダーのスウだ。今日はとあるゲーム会社にアポを取り、新作ゲームの体験会へやってきた。
「お忙しいところ申し訳ありません」
私が挨拶すると、社長らしき人物が笑顔で出迎えてくれた。
「いえいえ。こちらこそ、わざわざ弊社のゲームをプレイしていただきましてありがとうございます。どうぞご自由に遊んでくださいね」
「はい、では失礼いたします」
私は席に着くと早速VRヘッドセットを装着してゲームを始めた。
『ようこそ! あなたがこの世界の勇者です!』
「なんだよこれ? ふざけてんのか?」
『まずはステータスを確認してください』
「チッ……ったくめんどくせぇなぁ~」
私は渋々画面の指示に従いステータスを確認した。
【名前】スウ
【スキル】
・手加減Lv.1
・笑顔Lv.1
・逃げるLv.1 【ユニークスキル】
「なんだこりゃ? ふざけんなよ!」
私は怒りに任せてゲーム機本体を叩きつけた。
『ああっ! 何するんですか!? 壊れたら弁償ですよ?』
「うるせえ! 金ならいくらでもあるんじゃー」
私は大声で怒鳴ると部屋を出て駅に向かった。
しまった……。所持金86円、電車代もないな……。
まあいいか、歩いて帰ろう。
こうして私の短い人生は幕を閉じた。

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