私には投資家仲間がいる

私はデイトレーダーのスウだ。一日の取引は数十万円から数百万円に及ぶこともある。
もちろん、その間ずっとパソコンと向き合っているわけではないし、集中して株価をチェックする時間だって必要だ。
ならばどうすればいいか? 答えは簡単である。株式投資というのは、会社の成長性に期待してお金を投じる行為なのだ。
だったら、その会社が成長しない理由なんてないはずだろう?
「……というわけで、この会社は成長すると思います」
『そうですね』
私が話しかけると、モニターの中でスーツを着た男性が笑った。
「それではまた来週お会いしましょう!」
『はい、失礼します!』
男性はそう言って通話を切る。すると画面にはチャットアプリが起動された。
【スウさん、ありがとうございます!】
【やっぱりスウさんの予想通りでしたね!】
【スウさんのおかげで今月も利益が出ました!】
そんなコメントが次々と流れてくる。
そう、私には投資家仲間がいるのだ。みんな私のアドバイスを求めてくる。だからこうして毎日のようにチャットをして情報交換をする。「ふぅ……」
今日もまた一つ仕事を終えた。これで私の生活は安泰だ。
「さて、そろそろ寝ようかな」
私はベッドの中に潜り込む。
そして目を閉じながら思う。
あぁ、なんて幸せなんだろう。こんなにもたくさんの人から感謝されるなんて……。
でも、なぜだろうか? なぜか胸の奥にぽっかりと穴が開いたような気分になるのは……。
「……あれ?」
気がつくと、いつの間にか眠ってしまっていたらしい。

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